世代を超えて愛される新中野のラーメン専門店「麺屋 どうげんぼうず」

新宿駅から伸びる青梅街道を進んでいくと、ほどなくして高層ビルは姿を消し、屋根のついた歩道に所狭しと店が並ぶ商店街にたどり着く。
地域の人々から「なべよこ」と親しまれる、この鍋屋横丁を囲う街が、「新中野」だ。
新参のお店は移り変わりが激しいといわれるこの街に店を構える、ラーメン専門店「麺屋 どうげんぼうす」は、今年でオープン4年目となる。店長の近廣(ちかひろ)さんに、お話を伺った。

いつの間にか、子どもたちが遊びにくるお店に。

鍋屋横丁を南へ進むと、屋根つき商店街の終点に「麵屋 どうげんぼうず」がある。
黒を基調としたシックな店内に入ると、「いらっしゃい!」と明るく迎えてくれる店長の近廣さん。
自分の生活圏内で、かつ商店街でお店を開きたいと考えていた近廣さんは、今から3年前に、笹塚から新中野へとお店を移した。もともと20年近く音楽の道を進んでいた近廣さんだが、その傍らで働いていたラーメン屋での経験がきっかけとなり、自分のラーメン屋を持つことを決意したのだという。新しいお店は1年交代とまでいわれるこの商店街で、オープン4年目を迎えていること自体、単純にすごい。近廣さんは「おかげさまで」と笑った。

「小さい子からお年寄りまで、幅広い年齢層のお客さんが来ます。」と近廣さんは話す。商店街の付近に保育園があるそうで、保育園が終わったあとや、親御さんが買い物に行っているあいだ、子どもたちがお店に遊びにくるという。そんな子どもたち用に、こども塩そばという小さなラーメンも用意してあるのだとか。「子どもをたくさん呼ぼうという意識をしたことはないのですが、自然とそうなっていました」。
新中野の温かい雰囲気と、近廣さんのあっけらかんとした雰囲気が上手くマッチしているのか、古きよき東京の情景が浮かぶようだ。
また、このお店に印象的なのは、店長である近廣さんと、お客さんとの距離が近いこと。平日、週末を問わず多くの常連さんがやってくるようで、お話を伺っている最中にも、お客さんと楽しそうに話す近廣さんの姿を何度も目にした。

お客さんには美味しく食べて欲しい。でもまず、自分が美味しいと思うものを。

お店のいちばん人気のメニューは「肉辛そば」だ。独特の平打ち縮れ麵に、大きなチャーシュー。スープ全体に広がる赤色がなんとも辛そうで、思わず身構えてしまったが、一口すすって驚く。ちゃんと「辛おいしい」のだ。
これが近廣さんの狙いだそうで、どんな食べものも美味しく食べて欲しいという想いから、辛いけどおいしい、というところで辛さを止めているのだとか。「罰ゲームみたいな辛さのラーメンは、よそにお任せします。でも、うちは辛いラーメンの中ではいちばん美味いと思ってます。」と、自信たっぷりに答えてくれた。

ラーメンへのこだわりについて、基本は「自分が美味しいと思うもの」を基準にしているという近廣さん。完全なる自分の好み、完全なる主観だが、だからこそ、毎日食べても飽きない味になるのだと言う。「何かの基準とか、誰かのやり方に沿っていくのもいいと思うけど、もし失敗したとき、ぜんぶそれのせいにしちゃいそうな気がして。だから、成功も失敗も自分でしょいこんで、オリジナルのラーメンが作りたいんです。」と話してくれた。

地元の人々と一緒に、この街で年を重ねていきたい。

お店としての夢を聞いてみると、素敵な答えが返ってきた。
「よく子どもが遊びに来るって言いましたが、その子らと一緒に、この街に根付いていきたいんですよね。オープンしたときは小学生だった子が、こないだの春に中学校に上がって、学ランを着て店に遊びに来たんです。進学祝いってことで、ラーメンをご馳走してあげたんですが、こういうことが毎年できたらいいなあ、と思います。」
素敵な答えは、さらにもうひとつ。
「この辺りに住んでいる子どものお母さん方が、電話で誰かを呼び出すときや待ち合わせをするとき、『ラーメン屋にいるから』って言って、うちに来るんです。新中野にラーメン屋は他にもあるのに、ラーメン屋=どうげんぼうずって、小さなコミュニティの中でもそんな風に思ってもらえるのが素敵やなあって。もっとそうやって呼んでもらえるように、がんばります。」
子どもたちや、その親御さんたちがこのお店を好きな理由が、少し分かった気がした。

「関西の友人が東京に遊びに来るときは、ぜったいこのお店に行きたがるんです。」と話してくれたお客さん。
「スープ残っとんなら、ごはんとチーズ入れて食べてみ。人生変わるよ」と教えてくれた常連さん。
新中野の人の良さとは、こういうところにあるのだろう。そして近廣さん自身にもまた、新中野の人らしい温かさが感じられた。

店長と、初対面のお客さんとの、他愛もない会話。
商店街の一角にあるラーメン屋さんは、そんな「ちょっといい日常」を味わえるお店だった。

麵屋 どうげんぼうず

住所: 〒164-0012 東京都中野区本町4-30-11 アーク新中野 1F
TEL: 03-6382-7622
営業日:[平日]11:30~15:00、18:00~22:00 / [日曜]11:30~15:00 ※月曜定休

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